命を落とした身体に、別の命が入り込んだ時。あるいは、落とされたはずの命が運良くその身体に戻った時。
そうなった存在は、「半霊」と呼ばれるものになる。
半霊のほとんどは、別の命が入り込む形で生まれている。身体の持ち主だった命は、その身体が半霊にされた頃には、そのほとんどがとっくに星になっているからだ。
…ここまでが、私が聞いたことある話。
じゃあ、命を落とした身体に別の命が入り込んだとして、その身体の元々の持ち主が、星になっていなかったら?別の誰かによって半霊となった身体を、その身体の元の持ち主が認識したら?
…これに関する話は、あまり聞かない。まぁ、ほとんど起こらない事象だものね。
これに関しては、「身体を取り返そうとする霊体と身体を取られまいとする半霊が争い出すだろう」っていうのが、私の持論。
だって、幽霊になっている時点で、未練をそれなりに抱えてる証拠よ?自決して幽霊になったならまだしも、そうじゃないなら…身体に戻れるものなら、戻りたいじゃない。だってコレって、ある種の「蘇生」なんだもの。
それなのに、その機会を、別の知らない誰かに奪われてるのよ?嫌じゃない?
「私は幽霊になったのに、知らないアンタがなんで私の身体を使って第二の人生歩んでんの」って…そう思うのは、普通でしょ?
…まぁ、私の場合、彼女のことを受け入れて、和解したけれど。
なんで和解できたかは、当時は悪霊になりかけてたのもあって、ちょっとだけ記憶が曖昧だけど…。ただ、私よりも短い時間しか生きれなかった彼女に、同情したのは覚えてる。
それに、幽霊の状態も考えようによっては第二の人生だしね。
身体がなくなったせいで出来なくなったことはたくさんあるけれど、身体がなくなったからこそ出来ることだって意外とあるのだから。
例えば…気兼ねなくベニテングタケを食べる、とかね。
(「亡霊廃墟」―風羅 要―)
11/16/2024, 2:18:49 PM