◯閉ざされた日記◯
結婚30年。短いようで長い貴方と過ごした日々。
お別れは唐突で早く、気持ちの整理が追いつかないの。
貴方の遺した物を見る度に自然と涙が零れます。
口数が多い方では無かった。
お見合いで出逢い、新婚当初一度だけ聞いた事がありましたね。
貴方の妻が私で良かったですか? 幸せですか?と。
“あぁ”と一言の返事に少し寂しさを覚えましたが。
“この言葉は直接聞きたかったですよ…あなた”
新婚当時の日付が記してある懐かしい日記。
長く閉ざされていた日記の裏表紙、見つけて欲しいのか欲しくないのか分からないけれど懐かしい文字が並んでいた。
《良き妻、私は果報者だ》
少しだけ、私が隣にいくまで待っていて下さい。
私も同じだと、貴方に伝えたいんです。
1/18/2024, 10:59:10 PM