相合傘は、小さな世界だ。
そこに入れば、私と君だけの特別な空間になる。
これ以上、誰も入ることが出来ない。
君の鼓動、匂い、体温が伝わる。
これ以上、君に近付いても誰にも怒られない。
相合傘は、小さな静寂だ。
外だけが騒がしい。
肩を濡らす雨粒が、私の邪魔をしてくる。
「もう少し、この小さな世界が続かないだろうか」とわざと慎重に歩く横で、足早に歩く君がいる。
相合傘は、小さな社会だ。
1つの傘を共にした2人の人間でしかない。
真ん中にある傘の柄は、超えることの出来ない心のラインなのだろうか。
あと100m、雨はまだ止まない。
6/19/2024, 7:12:36 PM