バイバイ
君の瞳は、
深い哀しみを湛えて、
戻らぬ彼の影を、
只、待ち続けてた。
独り、佇む君の横顔に、
私は静かに近づいた。
孤独の海に沈む君へ、
微かな明かりとなれるならと、
そっと、温もりの腕を広げた。
例え、偽りの恋でも、
それで、良かった。
…君の、孤独な心の隙間や、
虚しさを埋めるなら。
…私の、失われた恋の未練が、
柔らかな嘘で包み隠せるなら。
やがて、私達は
淡い夢にすがるように
儚い恋に身を委ねた。
けれど、
君は彼を待ち続け、
やがて、私の温もりを手放した。
君が選ぶ道が、
彼の隣へと続くなら。
君にとっての真実ならば。
私は微笑んで、君を見送るね。
――バイバイ
〜〜〜〜〜
旅の途中
荒れ果てた道を、
ただ独り歩く。
冷たい風が頬を裂き、
足元に揺れる影だけが、
黙って寄り添ってくれる。
夢の中で、
お前の背中を追いかけても、
伸ばした手は虚空を掴み、
お前は闇へと溶けていく。
呼びかける声は、
乾いた砂のように、
指の隙間をすり抜けていく。
焼け焦げた空に沈む月。
形のない焦燥だけが、
夜に取り残される。
解けた記憶の糸を、
何度、手繰っても、
お前の温もりには届かない。
もしも——
あの日に戻れたなら。
今もお前の隣で、
その名を呼べただろうか?
だが夜は何も語らず、
風の啼き声だけが、
胸を締め付ける。
あの日——
お前は逝き、
俺だけが生き残った。
後悔を背負いながらも、
それでも俺は、歩き出す。
滲んだ夢を抱えたまま。
そう——
まだ果たされない約束を胸に、
俺は今も…旅の途中だから。
2/2/2025, 9:23:14 AM