仕事帰りに頻繁に買食いをしていたツケが回ってきたようだ。
三つ揃えのベストのボタンが嵌まらない。
あともうちょっと、と頑張るがやっぱり嵌まらない。
洗面所の鏡の前、頑張らせ過ぎて緩んでしまったベストのボタンを見て、思わず溜め息が出る。
自分ももう若くない、そろそろ自分が生まれた時の父親の年齢になる頃だ。
自分が生まれた時、父の腹は既に立派なビール腹で少し動くたびにタユンと揺れていたのを覚えている。
……あれはイヤだ、あれだけは絶対に、あれだけは!!
もう買食いはしない、帰りは一駅手前で電車を降りて歩いて帰ろう、と軟い腹を撫で擦りながら決意した。
テーマ「永遠に」
11/2/2023, 4:22:48 AM