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「何、お願いするの?」
笹に桃色の短冊を付けながら、にこにこと聞いてくる彼女。
願い事を書くペンの先は、少し震えていた。
「お前の恋が叶いますように、って」
「えぇっ!?もう、自分のお願い事は無いのー?」
驚きつつも恥ずかしそうに笑う姿が、夜なのにやけにはっきり見えて。胸が苦しくなった。
「別に、良いの。早く付き合えば良いのに」
そう言ってそっと短冊をくくりつける。笹の葉に隠れるよう、少し、奥に。

この想いに、気付かれませんように。

(七夕)

7/7/2022, 10:07:44 AM