sweet memories
静かな、夕暮れ時、
沈む陽に照らされた貴方の横顔を、
今も思い出します。
指先ひとつ動かさずとも、
私は貴方の全てを愛していました。
その、淋しげな眼差しも、
私に背を向ける姿さえも。
あの時、貴方は言いましたね。
「何時か、報われる日が来る」と。
ですが、私は、
そんなものを待つほど、
お人好しにはなれませんでした。
貴方が望む幸福など、
この醜く濁った世界には、
存在しないのです。
だから――
私が、貴方を連れていきます。
甘い想い出を胸に。
何も持たず。何も要らず。
私は…ただ。
貴方の息遣いだけを頼りに、
生きていたのです。
ああ、どうか赦してください。
貴方が生きる限り、
私はずっと、
貴方を欲してしまうのです。
貴方を奪いたいのです。
心の奥まで、魂の端まで、
誰の目にも触れさせず、
ただ…私だけのものに。
これは、救済なのです。
だって、これからは、
私と貴方だけの、
甘くて、永遠に続く夢のような、
深い、静かな闇の中で、
二人、生きていけるのですから。
ねぇ、笑ってください。
最期くらい、あの日のように。
貴方の、その笑顔が、
私の全てを、
肯定してくれるのですから。
静かで、美しく、
誰にも邪魔されない場所で。
貴方が息を引き取るその瞬間に、
私もそっと、
同じ闇に落ちていけたなら。
それで、良いのです。
例え、貴方が私を憐れんでいたとしても。
甘い想い出は、
決して過去にはなりません。
私の中で腐らず、朽ちず、
永遠に、生き続けるのです。
………。
貴方が私を見ていてくれた。
それが、私の命でした。
5/3/2025, 7:20:28 AM