舞輝薇

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拝啓 2年後の私

どうもこんにちは、元気にしてますか?
健康体ですか?
夢、追いかけてますか?

聞きたいことは沢山あるけど、とりあえず今日も無事に生きていることを願います。

生きてさえいれば、なんだって出来るよ。
まぁ実際にはなんでも出来るって訳じゃないけど。

この手紙は、18歳の私が2年後の私に向けて書いています。
ハタチの誕生日を迎えるまで開けちゃだめだよ。
でもさ、たった2年間で書いた内容忘れられるかな?
って考えれば考えるほど忘れられなさそうなので考えることをやめます。(笑)

私のビジョンでは、20歳になるまでの2年間である程度お金を貯めて夢を追いかける…って感じなんだけど、ちゃんと今(2年後)も同じ夢を追いかけてるでしょうか。

まぁあなたは諦め悪いから今でも夢は変わってないでしょ(笑)

過去の自分の行動が未来の自分を作るって言うけどさ、昨日の自分は明日の自分に会えないし、明日の自分もまた、昨日の自分には会えないんだよね。
でも過去を振り返ることは出来るでしょ。
だから、ピッチピチの18歳の私が(笑)大人になった私に力を授けましょう。

今から床に手を当てるから、そっちも床に触れて。

…どうよ、力がみなぎってきた感じする?(笑)

とりあえず今の私が出来ることはこれくらい。
まぁ、気負いすぎずに頑張ってよね。

〇〇年〇月〇日18歳の私より
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手紙の封筒には
『20歳になった日に読むこと』
と書かれていたが、今の私は23歳と半年。

20歳を過ぎ、3年半も放置してしまっていたこの手紙はずっと引き出しの向こうで私を待っていた。

読み終わった手紙が両手からこぼれ落ち、私は床にそっと手を当てる。

「遅くなってごめん…力、貰ったよ…」

当時夢を叶えるために未来の自分に宛てた手紙。
読むのがこんなに遅くなってしまったのは、3年前の自分には読む資格がないと思ったからだ。

2年間を費やしながらも何一つ夢に近づけなかった私は、純粋で、叶えると疑わなかった過去の自分と目を合わせることが出来なかった。

合わせる顔がなかった。

しかしようやく今、私はあなたにこう答えることが出来る。

「遅くなったけど…まだまだこれからだけど、やっと夢へのスタートラインに立てたよ」

何年も費やしてしまった時間は、無駄なんかじゃなかった。

家族でさえ“現実を見ろ”と呆れていたこの夢を私を、認めてくれる友人に出会うことが出来た。

今の私を作っているのは、昨日までの私。
良いことも悪いことも沢山あった。
その度に過去の自分を責め立てた。

けれどもう、過去の自分の所為にしたりしない。
今までの全ての行動が今日に繋がっているから。

床に散らばってしまった手紙を拾い集め、丁寧に封筒へ仕舞う。

そこに書かれた
『20歳になった日に読むこと』
の文字。

守れなかった約束。
過去の自分。
昨日までの全ての私の上に、今日の私が立っている。


「ねぇー、これ新作なんだけどちょっと読んでみてくれない?」

ドアの向こうから友人の声が聞こえる。

「いいよー、すぐそっち行く」

読み終わった手紙を引き出しに仕舞い、軽快に応えた。

一瞬静まり返ったこの部屋で聞こえてきたのは、少し駆け足になった『今日を生きている私の鼓動』


3/19/2024, 4:16:16 PM