多田野一人

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相合傘
水無月なのに、降り続く雨…梅雨の合間の久しぶりの青空で、太陽が眩しく輝いている…念の為に、傘は用意してあるけれど…
夕方、帰支度をしていると、雨粒がポツポツ窓を叩き始めた…玄関に着いた頃には、急に本降りになっていた…その軒下には、あの人が、困り顔で空を見上げていた…どうしたものか躊躇したけれど、見過ごすことも出来なくて、駅迄、送っていくことを提案した…あの人は、嬉しそうに、ありがとう、って云ってくれた…それから、近くの駅迄一つの傘に二人寄り添い乍ら、歩いた…何時も遠くから見ているだけのあの人とこんなに、近い距離で、心臓が止まりそうなくらい…雨音よりも、ドキドキが激しい…時折交わす言葉も、上の空になりがちで…

6/19/2024, 1:54:54 PM