パリの18区にひっそりと佇む美術館は、時が止まったかのような静けさだ。ギシギシと音を立てる古びた床は、歴史を語るように足音をたてる。
そこに展示されているスペイン画家ゴーシュルレの名画「幻の女」は、どの角度から眺めても、決して目が合うことがない。
その絵の魅力は、見る者に朧げな影を思い起こさせるところにある。
ゴーシュルレは、ある女性と目が合ったとたん、運命的に一目惚れをしたと言われている。しかし、その情熱は叶わぬ恋として彼をさいなみ続けた。
絵画の中の女性の微笑みには、ゴーシュルレの苦悩が宿っている。
彼女との距離は決して縮めることは出来ずに永遠の美しさと共にその恋を封じ込めた。
誰もがその絵に触れれば、胸の奥で哀しみの詩を聴くことになる。
「幻の女」は、恋の痛みとその美しさを語りかけるのだ。
「すれ違う瞳」
☆ゴーシュルレという画家は、創作であり実在しません
5/5/2025, 3:27:04 AM