『君と一緒に』
君と一緒にお菓子を食べた。
想像よりずっと苦い味に、僕は苦笑した。
「考えることは、同じなんだなぁ」
驚いた君の目が大きくなるのを見ながら、僕は目蓋を閉ざす。
僕らはずっと一緒に居た。
生まれてきた病室のベットは隣だった。
赤ちゃんのときは、お家が隣だった。
それから、幼稚園児、小学生、中学生、高校生、大学生……ずっとずっと、君と一緒に僕は居た。
僕は、君とずっと一緒に生きていくものだと思っていた。
幼馴染みで、なんでも知ってる君と、ずっと。
だけど、世界ってのは残酷で、いつだって僕らを引き剥がそうとする。
『どうしていつも二人で居るの? あたしもまぜてよ!』
『ねぇ、あなた彼の何なの? 兄弟? まあ、いいわ、私が彼の彼女になれるように手伝って! いいよね?』
『いや、お前ら友情ごっこはいいから、そろそろ彼女見つけろって。一生童貞のまま終わるつもりか??』
何も知らないくせに。正義だ善意だ、そんなレッテルで一方的な願望を押し付けてくる。
……もう、うんざりだった。我慢の限界だった。
だから、だから、だ。
君を殺して、僕も死のうと思った。
君と一緒に死んで、ずっと一緒にいようって。
誰にも邪魔されないところまで、逃げようって。
大きく音を鳴らす心臓と震える指で注文した毒薬。
素知らぬ顔で、僕は二人の“お茶”にそれを混ぜた。
そして、内心ドキドキしながら菓子を口に入れ……気づいた。
――ああ、君も同じだったんだね。
身体中の内蔵が焼けるように痛い。
ごぽりと口から血が溢れる音を聞いた。
うっすらと目を開く、泣きながら嬉しそうに笑う君の姿を見た。
僕は緩やかに微笑むと、なけなしの力を振り絞りお茶を指差した。
僕らの間では、言葉なんてそれで十分。
これで、僕らは両想いだって、伝わる。
「あいしてる、」
「ぼ……く、も」
体が冷たい。いや、寒いのか? もう、分からない。
僕は穏やかな気持ちで目を閉じた。
誰がなんと言おうと、これが僕らのハッピーエンド。
君と一緒に居られる最高の終わりだ。
おわり
1/6/2026, 11:29:05 PM