「お願いっ…!死なないでっ…!私を残して逝かないでっ…!!」
顔から出る全ての体液を流しながら必死に僕に縋り付く彼女。
そんな顔は見たくなかったな。
「泣かないでよ…」
もう助からない。それは僕も、そして彼女自身も分かっていた。
「君は…幸せに、なるんだ…。だか、ら、僕のことで…泣かないで…」
重い腕を必死に持ち上げて彼女の頭を優しく撫でる。
「っっ!!そんなのっ!貴方がいなきゃっ!私は幸せになんて…!」
寒い。眠い。
「ごめん、ね」
そして全身から力が抜けた。
「うぁぁぁぁぁぁぁっっっっーーーーーー!!!!」
最後に聞いたのは、彼女の叫び声だった。
ーーーーーー
泣かないで
12/1/2024, 8:38:44 AM