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鏡の前に立ち、歯を磨き始めて間も無くのこと。

目の前に写る自分を何気なく眺めていると、きらりと頭頂部に光を反射する毛が一本。


そう、白髪だ。


どうやら長さはないようで他の毛の間にちんまりと存在している。

ようし、口を濯いだら絶対に抜いてやろう。

そう意気込みながら俯いて口を濯ぎ、口周りについた水滴を拭ったところで顔を上げて頭部に手を伸ばす。

するとどうだろうか、先程まで光を反射して存在を主張していたヤツは姿をくらましているではないか。

そんなはずはない。確かにそこにあった。絶対にだ。

しかし暫く髪を指先で掻き分けても行方は知れず……これはどう言うことなんだろう。

うーん…どこ?一体どこに行ってしまった?
おかしい。

次見つけた時には必ず抜いてやる。そう胸に誓いつつ朝の支度を終え、今日は大人しく隠れた白髪と共に外へ出るのだった。


2025.3.20 『どこ?』

3/19/2025, 3:06:26 PM