星空の下で
星空の下で少女は夢をみていた。
「こっち、こっち! 一緒に踊りましょ!」
そう言って少女の腕を引っ張ったのは小さな妖精だった。弱く引っ張られた腕につられるように少女は歩き出す。
森の中の獣道をぬけた先で、視界の開けた草原に動物たちが集まっていた。夜はすっかり更けているのに、みんな起きていてどこか楽しげに目を輝かせていた。
周りを飛ぶ妖精たちを追いかけるようにくるくると回り、どこかから聞こえてきた不思議な音楽に身を任せて少女は楽しげに踊る。
湖に映る満天の星空を眺めて少女は楽しそうに笑っていた。
躍り疲れて、草の上に寝転び、少女は目を閉じる。
星々が朝焼けの光に隠れて見えなくなる頃、少女は目を覚ました。周りを飛ぶ妖精も、草原を走り回る動物たちも、どこかから鳴り響く音楽も、そこにはなくて、少女はゆっくりと辺りを見渡した。
果たしてあれは本当に夢だったのだろうか。そう頭をかしげつつ、少女は記憶に残るあの音楽を口ずさみ、体の思うがままに踊りながら帰っていった。
4/5/2023, 2:17:27 PM