せつか

Open App

「奇跡のようなこの場所で、君に会えたことは何よりの喜びだよ」
それは多分、本当のことで。
「君と肩を並べて歩けるこの時とこの場所が、私には何よりの宝物だ」
それはきっと、私の気持ちでもあって。
「今度こそ、最後まで君と一緒にいるよ」
それはきっと、叶わない。

「私も同じ事を思っていました」
そう言うと、彼はお得意の困った顔をして笑う。

彼の全てを包み込むような、その実全てを諦めて突き放しているような温かくも低い声が、私は大好きで·····大嫌いだった。

END

「この場所で」

◆◆◆

2作目↓

この場所で出会った幾人かの人。
趣味が合って、リアルで会っても話し安くて、何年かはやり取りしていた幾人かの人。
でもやっぱり駄目だった。
人が嫌いな訳ではない。
話し安くて楽しかった。
何かあったら気遣う言葉が嬉しかった。
でも、ふとした事が面倒臭いと感じてしまう。
ただ好きな趣味で話が出来ればそれで良かったのに、季節の挨拶とか、贈り物とか、そういうのをやりたくなくて探した場所だったのに、この場所でもそういうのがいるのか、と私は面倒になってしまうのだ。
繋がりたいと思いながら、そういう事を面倒に思う私は、何かが破綻しているのかもしれない。

END

「この場所で」

2/11/2024, 11:26:02 AM