Kanata

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 SNSで誰かを批判する声を目にする度に、わたし自身の声が聞こえてくる。
「あんなことするなんて、有り得ない。思いやりないし、非常識だよね」
 それは昔の自分の声だ。
 他人が怖くて、批判されたくなくて、自分は正しいと主張する。
 その声はブーメランとなって返ってくる。わたしは時に、思いやりがなく、非常識なことをすることもある人間なのだ。当時批判の言葉を向けた人たちと同じで。
 ブーメランが自分の喉を突き刺した時、思うのだ。わたしは悪かもしれないが、そこに至った経緯がある。そしてそれは多くの人には理解されず、ただ悪として排除されるのだ。自分がしてきたことと同じように。


『善悪』

4/26/2024, 2:22:19 PM