徒花

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「太陽のような」

第Ⅰ 始まりⅡ

見つかる。そう思った。
固く目を瞑る。
このデスゲームが"また"1から始まる。
何度挑んでも振り出しに戻される。
脱出できたと思っても気づいたらまた振り出しに戻っている。
振り出しに戻されると何もかも元どうりになっていて、そしてまた追いかけられる。
だから逃げながら、ちょっとずつ脱出方法を探る。
次の"私"に繋げるため。今の自分を無駄にしないため。方法をさぐっては見つかり、リセットされ、また逃げる。その繰り返し。
そして今回も逃げきれなかった。

「逃げようが隠れようが関係ねぇ、どんな手を使おうと、お前に勝ち目はない。俺の勝ちだ。」

彼は勢いよくロッカーの扉を開け、私を見つけると笑みを深める。
あぁ、この顔を見るのも、もう何度目だろう。
アイツのニヤニヤとした顔。貼り付けたような笑。細身の体型にすらっとした手足、ロングの黒髪を後ろに結わえ、白いワンピースを着ているその姿は一見すると女性の様だが低く気迫があり、刺さるような鋭い声や細いつり目、シュッとした顔立ちから男なのだろう。
見た目に似合わない刀を両手に携え、ふたつある刀のうち右手に持っている刀を私の前に突き出す。

「ああ?お前つまんねえ顔してんなあ。死ぬ事を恐れてねえのか」

何を言っているのだろう。ここでどうなろうと、また生き返るのだから怖くはない。
確かに最初は生き返ると知らなかったし、抵抗もあったが、もう何度も繰り返しているうちに何とも思わなくなった。

「当たり前でしょ?」

生き返るんだから。口にはしなかったが心の中でそう続けた。

「は…」

私の問いに驚いたのか、彼は突き出していた刀を下ろし、しゃがむと私の顔を覗き込んだ。

「生きたいとは思わねえのかよ」

「へ…」

それは意外な質問だった。
まさか目の前の男の口からそんな言葉が飛び出してくるとは思いもよらず、不意の言葉に間抜けな声が出た。

「生きたい…と思う」

「締まらねぇ言葉だな。だがよ、だったらどうして死ぬ事が怖くねえんだよ」

「貴方は即死する方法を使うから怖くない」

他のヤツはじっくりといたぶったり、じわじわしたり、特殊な性癖を持っているヤツばかりだけど
目の前のヤツは執着やこだわりがないから即死する方法を使う。抵抗しなければ痛みも感じない。
だから怖くない。

「そういう趣味は無いが少しずつヤッてもいいんだぜ?」

また全身が震えだす。さっきまでのは所詮、虚勢だ。
即死でしかも生き返るとはいえ死ぬのは怖い。
でもどうせまた振り出しに戻るのなら少しでも情報を掴む、その一心で心からの虚勢を張っていたがそれも、もう限界なのか恐怖心が心を呑み込んでいく。

「ッ…」

「あー、あー、やめだ。」

「へ?」

やめ?やめと言うのはどういうことだろうか。

「今お前をヤッても意味ねぇってことだ。
だから地上に出るまで俺に協力しろ」

「え?」

意味がわからない。何度も、何度も、切っといて協力?言ってる意味がわからない。
それに信頼できる自信もない。
だけど今まで1度も「協力しろ」なんて言われたことがなかった。
これはもしかしたらチャンスなのではないだろうか。どうせ失敗してもまた振り出しに戻るだけだ。
しかしその前に1つ言うことがある。

「分かった。でもひとつ約束して」

「…言ってみろ」

少しの沈黙の後、意外にもあっさり先を促される。

「外に出ても絶対に私に手を出さないって。」

「…分かった。俺は手を出さない。でも他の連中はお前を消そうとするだろうよ」

正直驚いた。否定されるとばかり思っていたのに案外すんなり了承された。
しかし、目の前の男1人が襲わないと言ったところで私を狙う敵は大勢いる。

「いい。貴方さえ約束してくれれば。」

それでも目の前の男から狙われないだけで幾分か楽になるのも事実だった。

「そうかよ。分かった、約束してやるよ。」

男は呆れたように言うと、おもむろに立ち上がりこちらを振り返る。

「こんなとこ、さっさと脱出しようぜ」

そしてこちらに手を差し伸べると太陽のような笑顔ではにかんだ。


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*既にもう先行きが不安になっています…笑
思った以上に文章が上手くかけず1人落ち込んでいます。
自分で書いておきながら自分の下手さを痛感しています。難しい…。

まだ何が何やら分からない事だらけだと思いますが後々説明を挟みますので悪しからず。

2/23/2023, 9:49:10 AM