とある恋人たちの日常。

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 まだしばらくは松葉、取れないよなぁ……。
 
 救助をしている途中に、足を滑らせて怪我をしてこの始末で、本当に情けなくなる。
 
 でも、情けないなんて見せたくないから、自虐で笑ってみせる。
 
 仕方がないなと、みんな笑ってくれたけれど、胸の奥にモヤモヤが広がっていた。
 
 先輩に送ってもらって家に帰る。玄関を開けると恋人がそこにいて驚いた。
 
 ソファに座って、みんなの時と同じように、自虐に笑ってみせる。
 すると彼女は俺を抱きしめてくれた。俺に痛みが出ないように、気を遣った抱きしめ方をしてくれるのが分かる。
 
「……大丈夫じゃないです」
「いや、大丈夫だよ」
 
 それでも笑って誤魔化した。
 それなのに、少しだけ間を置いてから、更に力を入れて俺を抱きしめてくれる。
 
「あなたは大丈夫ですよ」
 
 ああ、本当に。
 君はそういう子だよ。
 
 俺が凹んでいること、絶対に気がついてるよね。でも、それを言葉にしない。俺が俺でいることを肯定してくれるんだ。
 さすがに嬉しい気持ちで溢れちゃうよ。
 
「ありがとう」
 
 俺は彼女を抱き締め返した。
 
 足が治ったら、もっと頑張ろう!
 
 
 
おわり
 
 
 
お題:あなたがいたから

6/20/2024, 12:35:28 PM