谷茶梟

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モンシロチョウ
(宝石の国二次創作)
「モンシロチョウ、好きだったっけか?」
スピネルが学校に迷い込んだチョウと、指先で戯れていた。白い鱗粉を落とすチョウを慈しむように、優しい眼差しを向ける。
「シリマナイトが教えてくれたから、思い出す」
スピネルの表情に影が差す。久々に聞いた思い石の名前に、動揺する自分がいた。忘れたいような、それでもこびりついて離れない名前。
「そうだっけ」
遠くを見つめて、誤魔化した。思い出せてよかったと思う。思い出してまた自分の罪を責める。あの日俺の身代わりになったあの子の、生きた意味を探し続けている。

5/10/2023, 11:57:21 AM