不意に見えた彼女の瞳は凪いでいた。そこには動揺も何も無い。揺らぐことの無い眼は、ただただ安らかにここ以外の何処かを見ている。焦点の合わぬほどに互いの顔は近くにあった。だと言うのに、彼女の瞳に目の前の自分がが映ることは無い。虚しいようで、何故だか安心している自分がいた。結局、自分は気高き彼女を自分のトクベツにすることを恐れている。今夜も自分は、どうしようもない臆病者であるのだった。―――独りよがりの片想いお題【安らかな瞳】
3/14/2024, 5:42:40 PM