いるまside
鋭い眼差しとはある意味歪んだ愛の形なのかもしれない。
幸せと不幸せは紙一重で、少しでも崩れたら同じなものになってしまうものでもある。
朝日がほんの少しの扉から来た。その朝日は白くて、真っ暗いこの部屋の中では少しの明るさになっていた。
別に起きようともしていない。どうせ動けないのだから。
『おはよーいるま♡』
そんな甲高い声と同時にドアが開ける重たい音が鳴った。これからのいつもの日常が始まってしまう。
『いい夢みれた?』
そんな質問されても答えるわけがない。らんは少し前から可笑しかった癖があった。それが何個も何個も積み重なったのがこの結末。
『......』
ほら、こう黙ってたら怒ってくるでしょ。わかってるよ。らんの癖は全て把握してる。
『返事しろよ!!』
今日は何するの?でもこんな顔してくれる、またはさせられるのは俺だけなんでしょ。
『ヒューヒューひゅー』
苦しいっなにこれっもしかして今俺
首締められてる?
『らんっひゅーわかったがらっ!こたえるがらっ』
クパッと音が鳴って俺の首元が開放された。
『どう?いい夢みた?』
鋭い眼差しをして、俺の事をみた。初めからこれを狙っていたんだ。この顔がどうしてもたまらない。
『夢は見なかったけど、今はいい夢だよ』
鋭い眼差しは俺にとっては歪んだ愛情でしかない。この関係は可笑しいとは分かっている。だけど、辞められない。この歪んだ関係でもらんとずっと一緒に居られて、永遠になれるならこの関係は嫌いじゃなくて寧ろ大好き
らんside
俺の癖はすぐに感情がふつふつと心の中から湧いてきて、すぐに言葉や手に出てしまうところだ。別にこれが悪い癖だとは思ってない。だっているまがもとめてるんだもん。好きな人が求めてるものを分け与えて何がわるいの?
『夢は見なかったけど今はいい夢だよ』
この言葉はいるまの本心なのかそれとも、××のせいなのかは分からないが、少なくともいるまは求めてくれる。
いるまは多分俺が与える鋭い眼差しは歪んだ愛情で自分にしかくれない顔だと思っているが、俺はそうだとはおもわない。
歪んだ愛情じゃなくて、それはいるまが与えたものなんだから。悪いのは俺じゃなくているま
この関係は正しいもので世界一幸せな関係。ずっと辞める気もないし、この関係でずっといるまと一緒にいる。これが今では最優先なのだ。永遠になれて、このまま幸せが続くなら、嫌いなんて言葉が、要らないくらい大好きな世界で埋め尽くされているんだ。
『これからも逃がさないからね』
この言葉と同時にいるまの手首に××を打ち込んだ。
10/15/2023, 2:32:51 PM