相合傘
朝、登校したら黒板に落書きがされていた。
そう、定番中の定番の落書き。ハート傘だ。
私と、私のことが好きな人の名前が書かれている。
私はみんなにヒソヒソと笑われながらそれを消した。
そして名前を書かれてしまった彼はずっと俯いている。
許せない。こんな落書き。いや、相傘と言う風習をこの世から消したい。
心から願った。
家に帰ると、あったはずの私の傘がなくなっていた。
しかし私は、妹が使っているのだろうとソコまで気に留めなかった。
日付が変わった。今日は雨だった。まだ傘はなかった。そして道行く人は、傘をさしていなかった。大雨だったにも関わらず。
私が相合傘を世界から消してしまった。そして、それと同時に傘も消してしまったようだ。
確かに、傘が存在したままだとふとした時に一つの傘に二人入ってしまうことがあるかもしれない。それなら、神様からしたら傘を消す方が手っ取り早いのだ。
私は傘を開発した。この傘がない世界にもう一度傘という文化を芽生えさせるためだ。
朝、登校したら黒板に落書きがされていた。
6/20/2023, 9:57:05 AM