トト

Open App

日本でバレンタインデーが盛んになったのは昭和30年代頃で、女性が気になる人にチョコを贈る日ーーなどという独特な風習に変わって定着したのが昭和40年くらい、

1965年、つまり昭和40年生まれの私にとっては「なんて日だ!!」と叫びたくなる顛末が多かった。

すごく期待していたのに、もらえない日ばかりだったからだ。(母は除く)

今は義理チョコだとかチョコレート渡すのは気軽になったり、義理もないくらい廃れて来てるのか知らないが、

とにかく私の子供から思春期にかけてはチョコはそもそも高級品だったし、バレンタインデーはガチ勝負みたいな雰囲気があったのである。

当時、3人兄弟で、3時のオヤツに板チョコを3等分して分けていた記憶がある、

わが家が特別貧しかった訳ではないと思う。当時の平均的な家庭はそんなものだった。玉子がバラ売りされていて、1個20円くらい(今より高い)、その1個の生玉子を、普通に2人で分けて食べていたから。

「チョコは食べ過ぎると鼻血が出るからだめよ!」と母親や周りの大人からも注意を受けた。

いう事聞かずに1人で1枚の板チョコを全部食べたら直後に鼻血が出た。

さっき調べたら、食べ過ぎると鼻血が出るなどという事実はないらしいので、暗示にかかっただけのようである。

多分、高級品を子供にバクバク喰われては堪らないから大人がそういう事を言っていたのではないか?

そんな高級品だったから、渡す方だってそんなに気軽には渡せなかっただろう。1枚の重みが今とは少し違うのである。

残念ながら私はほとんどもらった記憶がないのだが、

小学3年生くらいの時、バレンタインデーの日に歩いていたら、女子高生が数人たむろして何やら楽しげに話をしていた。手にはチョコが入っていそうな紙袋を手に手に持っていたのである。

彼女たちのそばを通り過ぎようとしたその時、「ちょっと!」と女子高生の1人が私に声をかけてきた。

私はドギマギして、聞こえない振りをして足早にそこから離れ去ろうとした、

「ねぇ!!君!」私は顔を真っ赤にして走り出していた。

さすがに追いかけては来なかったが……

シャイな小学生であった。

勝手にチョコを渡されると思って逃げたのだが、

それは単なる私の思い過ごしだったのかも知れない。

今となったては永遠に分からない。

2/15/2024, 2:19:37 AM