とある恋人たちの日常。

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 彼女は上機嫌で、朝ご飯の支度をしていた。
 
 彼は先日、救急隊員の仕事で救助中、事故に巻き込まれた。
 奇跡的な回復をして、昨日やっと退院したのだ。
 
 昨日は職場の人たちと退院祝いをしたからこそ、彼女からの退院祝いはこれから。
 
 どちらかと言えば、不器用な彼女だが、退院祝いに考えたのは彼の好きなハンバーグと添えもののサラダ。そして一番大事なクリームソーダ。
 
 朝には少し重いかな……。
 そう考えた彼女は、「ソースは彼が起きてから聞こう」と、いくつかのソースを準備した。
 
 ハンバーグのタネは、昨晩の退院祝いより前に、しっかりと下拵えはしておいたので、それをフライパンで焼き始めた。
 
 彼が喜んでくれるか、重いと困らせるか不安になるけれど……彼の目が覚めるまでに、完成させよう!
 
 鼻歌を歌いながら、ひとつひとつの準備をこなしていく。
 
 
 そして。
 ぱたぱたと台所を動き回る彼女の姿を、青年は緩む口元を抑えながら見守っていた。
 
 
 
おわり
 
 
 
目が覚めるまでに

8/3/2024, 12:22:06 PM