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ささやきを、おそらく君は聞いたことがない。この距離では、かすかな声は風に隠れて消えてしまうから。取るに足りない会話の中で、虚しさと裏腹に心のどこかで安心していた。けれど、今日が最後になると分かっていたから。ささやきに隠した本音で喉は爛れて、君の鼓膜は破れて、きっと何も聞こえなかったことになった。

4/21/2025, 3:52:59 PM