僕が使える主は、正直いって馬鹿だと思う。
食べ方は汚いし所作が先ずなっていない。
シャボン玉だって謝り口の中に含んで飲み込んでしまう始末。
蒼空と同じ色をした髪色は毎朝くしゃくしゃのまま、僕の元に現れて初めて綺麗に整われる。
丁寧に櫛を通しキツく結べば痛いとすぐ言うのだから少しだけ緩めに結んでやる。
まったく仕方の無い主だね。
で、なに?誇らしさだったか、そんなものないよ、付喪神が人間に誇らしさなんて…ねぇ
一振、一振、物にも人にも優しくし、弱いものを助け強き者と肩を並べる。
時に無常な選択肢を目の前に差し出されても、真っ先に己を犠牲にしてしまう。
物に気持ちなんて寄せなくていいのに、
使ってなんぼ、キリキリマイに働いて朽ち果てるまで傍において、人生その最後の一振に僕を選んで、
いつか、ほこりをかぶる。
8/16/2024, 1:47:06 PM