「砂時計ねぇ……音するか?」
「ものの例えだよ、たーとーえ」
君ねえ、詩的表現を愛しなさいよ、などとしたり顔で肩を叩かれる。
つい先日の夏休み。
入道雲が空を覆うような、あの圧倒的な夏の青を、「なんか空青くて雲でけぇなー」とのたまったあほ面が頭をよぎる。
お前にだけは、絶対に、言われたくないのである。
「……まあ、音はしないけど“圧”は感じるかな」
では…と、サラサラと音もなく降り積もる時の質量を目で追いながら、感想に感情も乗せてみた。
決して先ほどの言を気にしているわけではない。
多分。うん。
「ほぉん。俺は気がついたらいつも計測終わってるわ、砂時計」
かけてたの思い出す時間もまちまちだから、毎回計ってる時間もランダムなんだよなー、と情けない感想をそのままお出しされた俺の気持ちがわかってもらえるだろうか。
『砂時計の音』
/お前に感受性なぞ皆無だわ
/二度と詩的表現語ってくんじゃねぇぞ
10/17/2025, 3:26:29 PM