ゆっくりと目を開け、身体を起こした。周りを見渡すとぼんやりとした光で現在の時刻を知らせる。俺が眠ってから二時間くらいしか経っていない。
暗がりの中で視界が慣れ、横を見ると背中を向けた恋人が安心した表情ですやすやと眠っていた。
彼女の気の抜けた顔に自然と口角が上がってしまう。
俺は彼女を背中から抱きしめると、むにゃむにゃと俺の体温に反応した。
軽く振り返って俺を確認すると、ふにゃりと微笑んでから安心したように身体をあずけてくれる。
そのまま俺も彼女の肩に顔を埋め、もう一度瞳を閉じると、彼女の優しい香りが鼻をくすぐった。
ああ、やっぱり安心する。
俺は彼女の温もりに包まれながら意識を手放した。
おわり
一六五、暗がりの中で
10/28/2024, 1:06:20 PM