〜Aちゃん目線〜
「あっ、あのさっ、この手紙、B君に渡しといてくれない?」
そう、声をかけた。
「え、なんで?自分で渡さないの?」
君はそう答えた。
「う、うん。勇気がなくて。」
この言葉から全てを悟ったらしい君は、すんなり手紙を受け取ってくれて、
「はーい。AさんからBくんへのお届け物、大切に運ばさせていただきまーす。」
と、冗談まじりに言い、去っていった。ちゃんと渡してくれるのかな。ちなみに、さっきの手紙の内容は、明日の放課後、体育館前で待ってる。来てくれるかな。不安。
〜C君視点〜
「あっ、あのさっ、この手紙、B君に渡しといてくれない?」
急にそう声をかけられた。
「え、なんで?自分で渡さないの?」
あんまり話したことないはずなんだけど、なんで俺?あ、Bと仲良いからか。
「う、うん。勇気がなくて。」
少し間があったが、そう答えたA。あぁ、この手紙は、ラブレターか。そう悟った俺は、「はーい。AさんからBくんへのお届け物、大切に運ばさせていただきまーす。」
と言って、すぐにその場から立ち去った。なんでかって?そんなの、聞くまでもないだろ。
あー、でも、どうしよ。こんなもん、渡せないよ。…仕方ない。心の中で、Aに謝って、手紙を開けた。丁寧に。中には、
「明日の放課後、体育館前で待ってます。」
という、至ってシンプルな内容だった。きっと、告白するんだろうな。結局、Bにこの手紙を渡さないまま、家へ帰った。
そして翌日の放課後。体育館前へ行くと、Aが1人で待っていた。俺は、なんて酷いことをしたんだろう。でも、もう戻れない。俺も勇気を出すんだ。
「A!」
名前を呼んだ。
「…?ぁ…」
かすかに聞こえた落胆の声。そうだよな。俺じゃ、ダメだよな。でも。でもっ、勇気を出すって決めただろ、俺。
「あのさ、A。」
黙って俺の言葉を聞いてくれてるA。怒っているのだろうか。呆れているのだろうか。仕方ないよな。
「まずは、ごめん。手紙を渡さなくて。あと、」
気まずい沈黙が流れる。
「好きだっ。ずっと、Aのことが、好きだ。」
そう言ってAのことを抱きしめる。ダメだってわかってるけど、この赤くなった顔を見られたくなかったから。抱きしめた君からは、
甘くて切ない香りがした。
「手紙の行方」
2/19/2025, 10:43:34 AM