燈火

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【澄んだ瞳】


頭の固い副会長として有名な僕は生徒に嫌われている。
不名誉な噂が流れようと訂正する気にはならない。
馬鹿は信じればいい。友人は僕自身を知っている。
僕も面倒だから、規則を破らなければ何も言わないのに。

しかし今年に入って、厄介な女が現れた。
「よく知りもせずに貶めるなんて最低です」と喚く声。
またか、とため息をつきながら近づいた。
案の定、いらぬ世話を焼く女が上級生に噛みついていた。

「余計なことをするな、と何度言えばわかる」
でも、とまだ何か言いたげに女はふてくされている。
よく見ず知らずの他人のために怒れるものだ。
そこだけは感心する。馬鹿さ加減には呆れるが。

その女は一年の三学期に転校してきたばかりらしい。
成績は優秀で、今年から生徒会の活動に参加している。
会長はいい子だと言うが、僕の邪魔をするなら許さない。
初対面で忠告したのに、彼女は手間を増やしてばかり。

仕事を覚えるのは早くても、小さなミスが目立つ。
関わらぬようにしているのに、わざわざ話しかけてくる。
彼女は多くの女子に嫌われている。僕も嫌いだ。
自分が正しいと信じ、純真な乙女を演じる偽善者。

書類の山を抱えて生徒会室へ移動中、また声がした。
「黙ってろって言うんですか。そんなのおかしいです」
それほど大きくもないのに耳に入るのはなぜだろうか。
考えれば首をつっこむ必要もないのに、放っておけない。

間に入れば、相手方は逃げるように去っていく。
「なんで否定しないんですか。あんなの嘘ですよ」
まっすぐ向けられる彼女の瞳には一点の曇りもない。
心の奥まで見透かされそうで、とても居心地が悪かった。

7/31/2023, 9:07:30 AM