「かんぱーい!」
田舎の片隅、古くて狭いアパートの一室。そこに置かれた小さなこたつに、いい年の男がぎゅうぎゅうになって座っている。
成人式で再会した、中学生時代の友人。せっかく20歳になったのだから、と、成人式会場から一番近かった俺の家に集って、ちょっとした宅飲み会をすることになったのだ。
誕生日当日に酒を飲んだ奴も少なくなくて、皆、不慣れながらもそれなりに自分のペースで飲んでいた。
そんな中。
「あれあれ〜?一人だけソフトドリンク飲んでるおこちゃまがいるな〜?」
酒精の匂いと浮かれた空気を纏った友人の一人が、少し赤らんだ顔で肩を組んでくる。うざ絡みにも程があるが、事実なので何も言えない。
そう、俺はまだ19歳。早生まれの俺は、皆に混じって酒を飲むこともできないのだ。
「あれ、飲まないの?」
「だってコイツまだ未成年じゃん?」
ぽんぽんと小馬鹿にするように頭を撫でられ、無性に腹が立つ。比較的酔っていない穏やかな友人の声さえ、酒を飲んでいるだけで無条件に癪に障った。
「そっか……あ、待って待って、いいものある。」
そう言った友人が鞄から取り出したのは、洋酒入りのチョコレート。そう、未成年でも、食べるだけならセーフである。
俺は床で潰れている酔っ払い共を避けてその友人の元に近寄り、チョコを貰って口に運ぶ。
噛み潰すと、とろりとした洋酒入りのシロップが溢れてきた。
舌と喉を焼くようなその感覚に、鼻を抜ける洋酒の香り。不慣れな味に、俺は思わず顔を若干顰めてしまった。
「……その感じだと、あんまり気に入らなかったみたいだね?」
にま、と友人が小さく笑う。前言撤回、穏やかだと言ったが、きっと彼も酔っている。
「あっははは!お前、あんな不満そうにしときながら結局子供舌じゃねーか!」
ゲラゲラ笑い転げる友人を軽口足蹴にしつつ、俺は一月後の誕生日、絶対酒を飲んでこいつらをぎゃふんと言わせてやる、と決意して、口の中のアルコールを流し込むようにオレンジジュースを呷った。
テーマ:20歳
1/11/2026, 6:48:20 AM