『私の名前』
ずっと独りだった。
みんな、私の体の色だけで、私の存在を不幸なものだと言う。
不幸を運んでなんていないのに。
忌み嫌われるのは、私の体が真っ黒だから。
真っ白だったら、みんなから歓迎されたはずなのに。
「クロー。ご飯だよー」
のんびりした声が、私を呼ぶ。
あの人間に拾われてから、私は独りじゃなくなった。
クロなんて安直な名前を付けたあの人間は、私をたくさん愛してくれる。
大嫌いだった自分の体の色。
大嫌いだった人間。
大嫌いだった黒という言葉の響き。
それら全てを、あの人間は、大好きに変えてくれた。
「今日も可愛いね、クロ」
「にゃあ」
7/20/2024, 1:20:54 PM