~朝日の温もり~
二人でずっと話をしていた
小さい頃のこと、つい最近のこと
そして、あったかもしれない未来のこと
いつの間にか寝ていたみたいだ
空が白み始めている
すっかり冷えていた体に朝日の温もりが
有り難かった。
「あれ、新しい1日が始まっちゃったね」
「なんか昨日の夜で最後かなって思ってたんだけど」
「まぁ、続くなら続く限り頑張りましょ」
いつか、明けない夜が来る
その時まで、二人で一緒に
~岐路~
私には他にも選択肢があった
でも、この道を選んだ
振り返れば、選ばなかった道が
遥か遠くまで続いているのが見える
この道の終わりは、きっとすぐそこ
でも、後悔してない
だって、君がいるから
~世界の終わりに君と~
誰もあいつを覚えていないと思ってたのに、
ばあちゃんは覚えていた。
あわてて、ばあちゃんのご近所さんにも聞いて回った。
隣の小林さんちのおばさんは覚えていない。
あいつと良く遊びにいった向かいの佐藤さんちは、
じいさんが覚えてるが、おじさんは覚えてない。
一人一人、検証して、気づいたことがある。
覚えていた人は、あいつと関係が深かった人。
そして、
すでに亡くなっている。
さっきと同じ風景、まるで何事もない日常のようで、
でも、違和感が今更ながら沸き上がる。
覚えていなかったんだ、僕が。
あの日、あいつと別れた後、何があったかを。
ここは、あいつが望んだ世界。
優しかったばあちゃんがいて、愉快な佐藤のじいさんもいて、
そして、僕もいる。
今までの世界から消えたのは、あいつじゃない。僕だ。
「思い出したんだね」
「なんだよ。せっかく、僕の願いが届いたんだぞ。
もっと楽しい神様生活すれば良かったのに。」
「いつも私の話を聞いてないよね。
なんで私一人だけ生きてりゃいいと思うかな」
僕があいつを探し回ったことで、あいつが作り出した
『僕がまだ生きている世界』は綻びが生じたらしい。
もう、この世界は終わるのだろう。
でも、
あいつと一緒だから…
君と一緒だから…
~最悪~
あの日のカフェの帰り、声を掛けられた。
追い掛けてきた存在がコレだと分かった。
コレが言うことは笑える冗談ばかりだ。
いわく、君が事故にあった。
いわく、君の最後の願いが私を神と呼ばれる存在にした。
いわく、神として最初にすることがある。
いわく、…
もう、嫌だ。
最も悪いことは、いま起きている。
~誰にも言えない秘密~
神と呼ばれる存在
自分がそれになったら
なにをするか
思い通りに好き勝手をする?
災害を止め世界を救う?
君に聞けたなら
なんて答えてくれるだろう
君の声が聞きたい
~狭い部屋~
壁があっても 屋根があっても
安心できる場所じゃない
ドアがあっても 窓があっても
どこにも行けない
ここは狭い部屋
君のいない場所
~失恋~
叶わぬ恋って
哀しくてキラキラしたものだと思っていた
こんなに ぐちゃぐちゃで 醜い ものだったなんて
知りたくなかった
失って 初めて 恋じゃなければ良かったと思う
~正直~
小さい頃、大人に言われた
正直であることは良いこと
嘘をつくのは悪いこと
いま、目の前の絶望に立ち向かうのに必要なのは
変えられない事実を打ち明ける正直さ?
それとも、甘い希望を見せる嘘?
6/9/2023, 1:09:56 PM