静流川 洸

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『神様だけが知っている』

僕はどうして産まれてきたのだろう?

もう何度目になるかわからないくらい繰り返した自問自答。

なんど繰り返しても答えは出ない。

「あたりまえだよね。そんなの神様にしかわからないよ」

しばらくして妹が産まれた。

小さくてかわいい、産まれてすぐ失敗作の烙印を押されたかわいそうな妹。

この施設で失敗作がどんな扱いをされるかわからない。だから僕がこの子を守ってあげなきゃ。

今後僕たちは幸せになれるのか、そんなの僕にはわからない。でもこの子を僕の手で幸せにすることはできるはず。

そんな決意と共に僕は妹に手を差し出した。
妹は小さな手で僕の手をぎゅっと握りかえしてくれた。それだけでとても嬉しい気持ちになった。

僕はこの子を幸せにするために産まれてきたんだ。そんな気さえした。

それから間もなく僕は妹と会えなくなった。
僕が守るって幸せにするって決めたのに。

僕はまたなんのために産まれてきたのかわからなくなった。

「僕はなんのために産まれてきたの?」
‥それは
「神様だけが知っている」

-fin-

7/4/2024, 10:55:52 PM