「好きだね、そのジュース。」
食堂からの帰り道。隣を歩くきみにそう言うと、きみは少し照れくさそうな表情をしながら「そう?」と笑った。きみの手に持たれているのはうさぎのイラストが描かれた可愛らしいパッケージのいちごミルク。それが売られている自販機の前を通る度にきみは、「あ、ちょっと待ってて。」と小走りで買いに行く。ガコン。とパックが落ちてきて、わたしの元へ戻ってくるきみの表情があまりにも子どもっぽくて可愛くて、一度見たらしばらくは脳裏から離れない。
きみと出会って半年が経つけど、わたしは未だに”いちごミルクが好き”という情報しか知らない。他に好きな飲み物はあるのかな。好きな食べ物は?好きな洋服のブランドは?好きな香り、好きな時間、好きな場所。……好きなタイプ。勉強は得意じゃないし、むしろ苦手。なんなら嫌いだけど、きみのことになると探究心は留まることを知らない。知りたい、もっときみのことを理解したい。きみ博士になりたい。だから、これからもずっと、わたしの隣できみの一切合切を見せて欲しい。だから、だから今日もきみがいつも付けているキーホルダーを片手にこう問いかける。
「好きなの?このキャラクター。」
―もっと知りたい
3/12/2026, 12:32:36 PM