「いいか……俺達が助かるにはこれしかない」
「本当にやるの?」
薄暗い倉庫の中、俺達は閉じ込められた。
そんなベタな展開がある訳、と思っていたがドアが施錠された訳ではなくただ単に建付けが悪くて開かなくなったのだ。
「強引にドアを破壊する」
「修理費請求されないかなー」
「これこそが、たった1つの希望……」
「カッコつけんなっ、ただの脳筋思考だから!」
「では他にどうする」
「あの高窓から脱出……は無理か。背が届かないし」
……。
「うぉぉおお!!」
「ちょ待て待て、早まるな〜!!」
羽交い締めにされて止められてしまった。
「もう少しこのままでもいいじゃん……二人っきりになれる時間なんてあんまり無いんだから」
「それは、そうだが。まあ、うん」
心地よい静寂が流れていく。
早鐘を鳴らす心臓の鼓動だけが一定のリズムを刻む。背中合わせになると、彼女の体温を直に感じた。
ここは学校だ、夜になればきっと誰か来る。
なら、もう少しこのまま。
このまま……。
自然と身体を寄せ合って、
「おーい、先生が早く戻って来いって……え」
「「あ」」
「ッスゥーー、お邪魔しました」
「「待て、誤解だから」」
………………
…………
……
「という展開で今度本を出そうと思う」
「もう賞味期限切れだろ、そのネタ」
3/3/2023, 4:09:10 AM