どこ?
静かに眠る貴方に、
私はそっと囁きかけます。
――お願いです。
目を開けて、私を見て下さい。
独り眠る貴方の瞼の裏に、
私は映っているのでしょうか?
触れれば、温かいのに、
呼びかけても、声は届かなくて。
指先でなぞる、頬の温もりは、
ゆっくりと、確実に、
私から遠ざかっていくのです。
ねえ、置いていかないで。
もしも、貴方が悪夢に囚われるなら、
私もそこへ行きたいのです。
貴方はまるで、
眠れる森の王子様。
何度、口付けても
魔法が解けることはなく、
ただ、夜が巡るばかり。
この世界に、
貴方がいないのなら、
私が生きる意味なんて、
どこにもないのに。
――貴方は、どこ?
私の声は、届いていますか?
もしも、
貴方の世界へ行けるのなら、
この身も、魂も、
全て悪魔に売り渡しても、
かまわないのに。
3/19/2025, 11:46:03 PM