『子供の頃の夢』
ベランダに出てタバコに火をつける。
いつもより長めに吸って深く吐く。
疲れた時のタバコの吸い方だ。
灰を落とさないように灰皿に落として
外の景色を見ながら黄昏れる。
外から無邪気な子供たちの声を聞くと不思議と
昔に戻りたいと思うようになったのはいつからの話だろうか。
なりたい仕事も無く仕事先では上司からの叱責、
嫌悪感ある辛気臭い環境、残業...
全てが嫌になってしまいそうだ。
「いつからこうなっちまったんだ...」
さっきの煙を深く吐いた時より重い空気を吐く。
子供の頃の夢...実家に
そういうのを書いた作文があるだろうか。
帰って調べよう。なんて気にもならなかった。
どーせ社会を知らないガキ一人の文章を見ても
イライラするだけだとわかっているからだ。
「さぁて、明日も頑張るかぁ」
俺はもう大人。文句を言わず上から回ってきた仕事を
こなすのが大人ってやつだ。
灰皿にタバコを押し付け火を消して部屋に戻った。
語り部シルヴァ
6/23/2025, 10:18:07 AM