【1000年先も】※長文注意
夜の温度が僕等を包みこむ。
冬のひんやりとした冷たい空気が時々流れこみ、「寒いね」と少し微笑む君。
けれど、それ以上に僕の心臓は騒がしい。
交際して3カ月。僕の恋心はまだ若い。彼女はもう慣れたかのように僕に接している。そんな彼女に少し負けたような気がするのは気のせいだろうか。
なぜ、このような状況になったのか。それは、三十分前に遡る。
僕は星を観察するのが趣味だ。
今日も屋根の上に登り、望遠鏡を見ていたが、ふと下を見ると彼女が歩いていた。彼女は驚いたが、そっちに行っていいか、と聞かれたのでつい、反射的にうん、と頷いてしまったのだ。
家に入れ、お茶でも出そうかと考えたが彼女は星をみたい、と言ったので今は屋根の上で星を眺めている。
夜風が俺の前髪を攫う。
俺等は望遠鏡で星を見た。やはり、冬の星は綺麗だ。
俺は彼女に星の説明をする。彼女は興味深そうに頷いてくれていて、本当にいい彼女をもったものだな、と思ってしまう。
そして、ふと思ったことを口にした。
「どうして、夜に出歩いてたの?」
少し訝しむ。もしかしたら、他の男がいて……など、我ながら最低なことを考えてしまう。
そんな僕の心を読んだのか、
「別に、誰かに会いに行ってたワケじゃないよ。塾の帰り!」
確かに、あのバックに付いていたキーホルダーはここら辺の塾のマークだった。
「そっか。お疲れ様。でも、寒くしないようにね。あれだったら、僕が迎え行こうか?」
「……ズルいよぉ…、急にそんな優しいこと言ったら、私の心臓が保たない。」
「え!?ご、ごめん…」
「別に…そういうところが君らしいし。」
でも、良かった。俺だけじゃないんだ。まだ、彼女も慣れていない。俺も、まだ慣れていない。
「ゆっくり、一緒に歩いていこう。一緒に、慣れよう。」
「、どうしたの?急に」
「なんか、言いたくなった。」
俺は、彼女の手を強く、優しく握った。
「俺は、守るよ。ずっと、この星のように。10年経っても。100年経っても、1000年経っても。君のこと、大切だと思ってる。」
「……」
彼女は柔らかく笑い、俺の手を握り返した。
「そんなこと言われなくても、わかってるよ。私も、おんなじ気持ち。」
彼女の手はまだ小さくて、冷たくて…でも、確かに存在がそこにあった。
俺等は指と指を絡めながら、遠く遠くの、1000年先の星を見つめていた。
2/3/2026, 11:52:49 AM