ゆじび

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「宇宙の娘」



他の誰とも違う。
手の形も。顔も。体も。スタイルも。
お世辞にもきれいだとか良いとは言えない。
これを個性と言うのは勝手だが私はこの体を
愛せない。

だって仕方がないじゃないか。
私は宇宙人の娘だ。
この地球の人間よりも醜いことは分かっていたじゃないか。
お父さんは人間でお母さんは宇宙人。
お父さんとお母さんは愛し合っている。
私はそんな両親が好きだ。
でもこんな体に産んだことはどうにも
許せそうにない。

そんな私でも大好きなものがある。
それは地球の芸術だ。
美しくも儚さを感じるバレエ。
見つけてくれって叫んでいるような絵画。
存在感を放ち一瞬で魅了するヴァイオリン。
理屈よりも感情に従うヒト。
どれも大好きでやってみたい事なのに
私には出来ない。
だって私にはバレエを踊るほどのスタイルもない。
思いを込めながら筆を動かす手もないし。
ヴァイオリンを繊細に引く技術もなくて。
そもそもヒトではなくて。


どうにもならないこともあるんだって知ってるけど
認めたくない。
理解したくない。
せめて少しでも努力するってことをしてみたい。
だからもう少しだけ考えてみる。
こんな私でも輝ける場所を。
私がここにいたいって本気で想える場所を。
そしていつか自分を愛せるようになるまで。
愛を叫んでみよう。


幸せになって見せよう。


「宇宙の娘」


6/20/2025, 12:34:58 PM