noname

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「明日死ぬんだ。」
「そうか。」
「驚かないんだな。」
「そりゃ20回目となればな。」
「なんだ、数えててくれたのか。」
「ご丁寧に毎月第一日曜日に言ってくれるからな」
「初めの頃はいい反応してたのに。」
「おれはそろそろ怒ったっていいんだ。」
「そんなカリカリするなよ。ほら、俺は明日死んでしまうんだぞ?」
「よく言うさ、死ぬ気なんかないくせに。」
「今回ばかりは本当さ。なあ、今日は日曜日だ。最期のお出かけにちょっと付き合ってくれよ。」
「ふん。本当に死ぬんだな?」
「ああそうさ。」
「仕方が無い。これが最期の会話じゃあ夢見が悪いからな。付き合ってやるよ。」
「そうきてくれると思っていたよ!さすが俺の親友だな。」
「けっ。調子ばかりはいいんだな。それで何処へ行くんだ。」
「そうだな、では浅草で劇場でも見よう。そうしたら服屋で服を見て、喫茶でケーキを食べるのさ。後はもちろん呑み屋に入って飲み明かそうじゃないか。」
「いつも思うが明日死ぬとは思えない日程だな。」
「いや、実はね。このスケジュールを君とこなさなければ死んでしまうんだ。俺は君がこんなことに付き合ってくれないと思っていたから、明日死ぬんだとばかり…。」
「いつも言っているが、素直に出掛けようと誘えばいいんだぞ。」
「それは恥ずかしいじゃないか。」
「これは恥ずかしくないのか?…お前なぁ、いつまでこの茶番を続けるつもりなんだ。」
「そりゃあ…」

『これからも、ずっと』

4/8/2024, 10:23:22 AM