蒼月の茜雲

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テーマ“雨に佇む”

天気予報では雨だなんて言っていなかったのに
突然バケツをひっくり返したような雨が降ってきた。
周りがワーキャー言いながら
雨宿りしたり、折りたたみ傘を開いたりしている中
私はただ、その場に立ち尽くした。

あー…雨だ。
早く帰らないと。
家まで、1.5キロ。
車は無い。折りたたみ傘も無い。
そんな事を考えながら、ただただ佇む。

周りの人は、おかしな人を見るような目で見ている。
雨宿りしたとしても、雨が止むまで
其処に居られるほど時間は無い。
何処かに行くわけでもなく
ただ帰るだけだから、電車やバスに乗る訳でもなく
ただ歩いて帰るだけだから
家に帰ったら着替えられる。

此れが冬だったら、流石に濡れて帰ろうとはならないけれど
夏の暑い日、炎天下からの土砂降りだから
何も気にせず家へと向かう。

漫画やドラマみたいに
下着が透けて見えることは無い。
肌に纏わり付く嫌な感じはするけれど
そもそも、夏とは言えど
そこ迄薄い素材の服は着ない。

人通りが少なく、誰に見られるでも無い道を進む。
途中、立ち止まる。
雨は止む気配はない。
虹が見られるわけでもない。
ただ、周りから見たら
憐れな人間が雨の中、佇んでいるだけ。
雨の中、ひた進むだけ。

8/27/2023, 1:52:04 PM