有給というものを思い切って使ったのがこれが初めてかもしれない。
これまでは自分がのし上がることしか考えていなかった人生だったから、誰かのために生きる喜びを教えてくれたのは正しくこの二人だ。
これを運命と呼ぶのならば、何と素晴らしく甘美な響きなのだろう。
季節のイベント事なぞ全く気にしていなかったモノクロの毎日に色が付けられていく。
それはあまりにも刺激的で、それでいてとても心地が良い。
「これ、何を考えておる」
「こちらに集中してください」
はしたない声を聞かせたくなくて口を覆い隠そうとした手を優しく絡めとられる。
噛み締めようとした唇にそっと指が差し込まれれば流石に降参するしかない。甘い吐息が漏れる。
「クリスマスは恋人達が過ごす時間だと聞きました」
「ならばお主はワシらと居るのが一番良い」
そんな理屈を捏ねられて半ば無理矢理取らされた休みは全て、文字通り恋人達と過ごすこととなった。
布団の上、跳ねる身体を余すことなく愛されていく。
三人のクリスマスはまだ、始まったばかりだ。
12/26/2024, 12:30:27 AM