コハク

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t「透明」

透明な液体が顔の輪郭に沿って落ちていく頃には君を忘れられているだろうか。
初めて会った桜の季節。風にのって花びらの風がなびく朝に君と出会った。
真夏の暑さがじりじりと迫る頃、自分の気持ちを自覚した。どうしようもないこの気持ちは汗と一緒に流れてしまえばいいのに…。
紅葉で彩られる秋。君と笑い合えるのもあと少し。こちらの気も知らないで君の隣で秋を楽しむ。
雪と光のコントラストを見せる冬。寒い中今年最後の挨拶をして来年の約束をする。顔が赤くてもバレないし、泣いても誤魔化せるかな。君といれるのはあともう少し。
桜の蕾が見え始めた頃。君と出会った季節は別れの季節になる。君のために何度も溢した言葉と涙はどこかに消えた。
最後は笑顔でお別れしよう。何度も吐露した気持ちは涙と共に地面に落ちた。

3/13/2025, 9:40:17 PM