エドゥアール

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・胸の高鳴り

親戚の集まりでもうヨボヨボで耳も聞こえないおじいちゃんがどうにかぼやけた視界を凝らして私たちを見てくれる。補聴器をつけて僅かに聞こえる左耳を凝らして私たちの雑多な話と笑い声を聞いてくれる。私がゲラゲラ笑ったり、料理の皿を寄せたり、他愛もない話をしたりすると、時折たまにふらっと笑ってくれるのだ。奥さんが梅酒はほどほどにしなさい、という叱咤は聞こえない。無視してるわけではなく。ほんとはきっと私の声も聞こえてないのかもしれない。けれども、フリでも、もう目の前の奥さんの言葉さえ判然としない人に言葉が届くとき。そのとき胸が高鳴っている。きっと私も、おじいちゃんも。

3/20/2024, 7:32:51 AM