薄荷

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私は今は地元を離れているし、高校の時の友達も進学や就職、結婚とかで県外へ行った人もいるし、もう会う事はないのかもしれないなぁと思っていた。


何年か前の正月、高校の時の友達から年賀状が来た。よくある子供の写真に今年もよろしくお願いします、と書かれたもの。彼女とは高校を卒業してからも毎年年賀状のやりとりはしていたから、あぁ、子供もう小学生になるのか〜と思いながら見ていた。今年もよろしくお願いしますとだけ書かれたコメントに業務連絡みたいな感じはしたけど、ずっと会ってないからそんなものだよね、仕方ないよねと。

それから数日後、その彼女から同じ年賀状がまた送られてきた。そこには「○○ちゃん、久しぶりだね!元気だった?また会いたいね!」と書かれていた。

......これってさ、1枚目は彼女のなかでは送っていない事になってるんだよね。つまり書く年賀状リストに私はもう載っていない。
実際には私はリストから外されてはいなかったけど、彼女の心のなかでは外していたと。なんかそれも、その年からじゃなくてもう少し前からかもしれない。リストから外したつもりが外れていなかったって事は、彼女にとっての私はもう、ぼんやりとしたものでしかないんだろうね。名前覚えているのかな。明確な意思を持って外した、というよりはなんとなく曖昧に失くしたような感じなのかもね。


会えなくてもずっと友達でいるんだと思っていたけど、そう思っていたのは私だけだったわ。
住む場所も違うし家族構成も違う。そらもう、接点の無い違う社会だものね。過去ではなくて現在の、今の現実の環境の方がずっと大切だよね、分かるよ、私もそうだもの。また会いたいねって本気かな。そんな熱量なんてもう無いんじゃないの?


年賀状は2倍もらったけど、寂しくてどうしようもなかったよ。



11/11/2025, 8:01:50 AM