アポロ123号!

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─空模様─

ぽつぽつと雨が降る。
けれど、僕の心は躍っていた。
だって、今日は
向日葵くんに会いに行く日だから。
向日葵くんはちょっと遠くの街に住んでいる
10歳年下の男の子。
母さんの友人の子供で、
最初こそツンツンしていたけれど、
最近は僕に懐いてくれていて、弟みたいな存在だ。

履き慣れた靴を履いて外に出る。
僕が「いってきます」と言うと、「いってらっしゃい」と返ってくる。

『ボクも連れていって』

そんな声が聞こえた気がして、振り返る。
そこには青色の小さな長靴が居た。
僕が向日葵くんぐらいの時に履いていたものだ。
今は亡きじいちゃんが、一生懸命選んでくれた。
当時は凄く気に入って、何処に行くにもこれを履いていた。

「懐かしいな」

僕にはもう小さい長靴。
その存在に気がついたのに、
置いていくのは可哀想だ。
大切に使っていたから、
使い古したようには見えないほど綺麗な長靴。

ああ、そういえば。あの子は青色が好きだったけ。
そう思いついてからは早かった。
綺麗に包装したそれを両手でしっかりと抱える。

「今までありがとう」

先程まで雨が降っていたはずの空は晴れ、
太陽がにっこりと僕達を見守っていた。

8/19/2024, 4:33:50 PM