その日は、朝早くから夜遅くまで食事もままならない程仕事が立て込んでて、帰る頃にはヘトヘトだった。
極度の疲労と空腹で頭が可笑しくなっていた。
普段なら素通りするような、私には縁遠いそのショーウインドーの中身、神々しく光り輝くソレにときめいてしまったのだ。
すっかり忘れた頃に郵送されてきた黒地のクラシカルな箱の山。
見たことのないロゴマーク、スマホで検索すれば老舗ドレスメーカーがヒットした。
サイズ直し品の為、返品不可という但し書きがついた伝票が指からすり抜けてピラリと床に落ちる。
なんてこった、と趣味じゃないキラッキラッふわっふわっの純白ドレスを入っていた箱に雑に仕舞った。
テーマ「繊細な花」
6/26/2024, 9:43:46 AM