好きな人が出来た。
優しくて、声が綺麗で、人のことをよく見ていて、皆の心の支えみたいな存在で、とっても素敵な人だ。
でも、その人には好きな人がいるらしい。
嫌だ。
恐い。
苦しい。
聞きたくない。
知りたくない。
なんで……
気付けば私は外にいた。
陽射しが煌々と肌を焼くようにして照り映える季節。蝉の絶えることの無い鳴き声が私の耳を覆い隠す。
顔を上に向ける。
悩み一つ無いような蒼がそこにはあるのだろう。
私にはわからない。
私の瞳にはなんともいえない曖昧な空だけがただ一つ夏の思い出として映るのみだった。
6/15/2024, 12:55:46 AM