僕が今日見た景色は、いつまでも忘れられないものになるだろう。
今日は全国大会。
高校3年間という時間を部活に費やし、この日を迎えた。
やっとこの舞台に立てたという嬉しさ。
直ぐに負けてしまうかもしれないという不安。
試合が始まれば、必死になるから、緊張などしない。
早く試合よ、始まれ。
───コテェ
声が響く
足音が響く
息が聞こえる
───ファイトォー、いいとこー
声援が聞こえる
最高の舞台だ。
次、勝てば入賞。
相手は優勝候補。
最後は楽しむと決めていた。
色んな人に応援してもらって立てた舞台。
こんなに素晴らしい舞台を用意してもらった僕は幸せ者だ。
同じ高校の仲間、同じ県の仲間、東海の仲間。
先輩の声、同期の声、後輩の声。
先生のアドバイス。
僕は独りじゃなかった。
とても多くの人に声をかけてもらって気にかけてもらった。
遂に、試合が始まる。
こんなに大舞台に立つのも、こんなに声援が聞こえるのも初めてのことだ。
ワクワクする。
───1本あり、勝負あり
僕は負けてしまった。
悔しかった。
でも、試合が終わった時、会場は暖かい大きな拍手で包まれた。
僕を応援してくれていた仲間たちが、僕に大きな拍手を送ってくれた。
試合に負けた悔しさよりも、多くの人に応援してもらっていたんだという事実が嬉しくて。
そして、感謝の気持ちでいっぱいだった。
僕はこの景色を、忘れないだろう。いつまでも。
5/9/2024, 11:43:22 PM